マダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに刺される危険性が高まります。
マダニに刺された場合
マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血しますが、刺されたことに気がつかない場合も多いと言われています。吸血中のマダニに気が付いた際、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりするおそれがあるので、医療機関(皮膚科)で処置(マダニの除去、洗浄など)をしてもらってください。
当院で経験した症例
マダニに刺された後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けて下さい。
ダニ媒介感染症
ダニ媒介感染症とは、病原体を保有するダニに刺されることによって起こる感染症のことです。
人が野外作業や農作業、レジャー等で、これらのダニの生息場所に立ち入ると、ダニに刺されることがあります。
ダニがウイルスや細菌などを保有している場合、刺された人が病気を発症することがあります。
主なダニを媒介とした感染症
- クリミア・コンゴ出血熱
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- ダニ媒介脳炎
- つつが虫病
- 日本紅斑熱 など
日本紅斑熱
日本紅斑熱は、病原体(リケッチア)を保有するダニに刺されることにより感染するダニ媒介感染症です。
近年、国内で年間200件を超える発生報告があり、死亡者も報告されています。
感染症法では四類感染症に位置付けられています。症状としては頭痛、発熱、倦怠感を伴います。
発熱、発疹、刺し口が主要三徴候であり、ほとんどの症例にみられます。本症を早期に疑い適切な抗菌薬を投与することが極めて重要でです。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、主にウイルスを保有しているマダニに刺されることにより感染するダニ媒介感染症です。
感染症法では四類感染症に位置付けられています。発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)を主張とし、ときに、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴います。
血液所見では、血小板減少(10万/㎣未満)、白血球減少(4000/㎣未満)、血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められる。致死率は10~30%程度です。有効な抗ウイルス薬等による特異的な治療法はありません。対症療法が主体になります。
マダニに刺されないように注意しましょう!
草の茂ったマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用し、ダニに刺されないように防御することが重要です。
*国立感染症研究所HP マダニ感染症資料より抜粋
参考文献 国立感染症研究所HP https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html
厚生労働省 ダニ媒介感染症 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164495.html
魚住総合クリニック 皮膚科 WEB予約はこちら