熱傷とは高温による皮膚障害で、治療の基本は冷却です。
熱傷の範囲が広範囲の場合、命に関わります。
重症の熱傷では気道確保や輸液などの全身管理に加え手術が必要になります。
クリニックでは、日常生活においてのやけどがほとんどです。
料理中に油はねや、熱い飲み物をこぼしてしまったり、お湯の蒸気で火傷してしまことがあります。
飲食店で働いている方のやけども多く、仕事中の受傷は労災の適応になります。
診断
熱傷深度と症状によりⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。
Ⅰ度 表皮熱傷
症状:紅斑、疼痛、浮腫 治療:外用治療
海やプールでの強い日焼けにもⅠ度熱傷にあたります。
Ⅱ度 真皮浅層熱傷
症状:紅斑水疱、疼痛 治療:外用治療、ドレッシング剤
II度 真皮深層熱傷
症状:白色、知覚鈍麻の水疱 治療:デブリードマン、植皮
Ⅲ度 皮下熱傷
症状:灰白色、あるいは褐色白炭化の表皮、水疱なし 治療:デブリードマン、植皮
受傷直後では正確に診断することが困難であり、時間の経過とともに深度が進行する場合もあります。
Ⅰ度熱傷は有痛性の紅斑および浮腫のみで、早期に適切な治療をすれば3~4日で瘢痕を残さず治癒します。
Ⅱ度熱傷は深度から浅層熱傷、深層熱傷に分けられます。痛みの強い紅斑からはじまりやがて水疱が形成されます。浅層熱傷は真皮への損傷が少ないため適切な治療をすれば約2~3週間でほぼ瘢痕を残さず治癒しますが一部色素沈着になることがあります。深層熱傷は真皮深層まで創傷が広がっており、治癒には1ヶ月以上かかります。壊死組織(えしそしき)を切除するなど症状に応じた適切な処置が必要になります。治療後は瘢痕を残します。
Ⅲ度熱傷に移行することもしばしばみられます。Ⅲ度熱傷は、皮膚は灰白色で水疱を形成しないか、褐色に炭化し、皮膚は壊死します。壊死組織を切除し、多くは他の部位から皮膚を移植する植皮(しょくひ)術が必要になります。
治療
初期治療は冷却です。受傷後できるだけ早く30分以上流水や氷水による冷却を行い、最寄りの病院を受診しましょう。
Ⅰ度熱傷の初期ではステロイド軟膏を外用し、病変の拡大や浮腫を抑制します。Ⅱ度熱傷では感染の予防が重要であり水疱の穿刺や抗菌薬投与、皮膚潰瘍治療薬、被覆材(ドレッシング剤)を症状に応じて使い分けます。
糖尿病の患者さんでは末梢神経障害がある場合、疼痛を感じにくいために、夜間に湯たんぽなどで受傷することもあります。
やけどは初期治療が重要です! 受傷後できるだけ早く冷却を行い、最寄りの病院を受診しましょう。
魚住総合クリニック 皮膚科