キズパワーパッドで傷が悪化?感染・蜂窩織炎に注意|皮膚科専門医が解説

※冒頭の画像はAIで作成したイメージで、実在の患者・症例ではありません。

※本記事の後半に実際の症例写真が出ます

苦手な方はご注意ください。

「傷ができたらキズパワーパッドを貼っておけば大丈夫」——そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。キズパワーパッドなどのハイドロコロイド製剤は、傷を乾燥させず湿潤環境を保つことで、創傷治癒を促す優れたドレッシング材です。しかし、どんな傷にも使ってよいわけではありません。

この記事のポイント

  • ハイドロコロイド製剤は、清潔で感染のない浅い傷などに有用です
  • すでに感染を起こしている、または感染が疑われる傷を密閉すると、感染の進行に気づくのが遅れることがあります
  • 赤みが広がる・腫れや痛みが強くなる・膿が出る・発熱がある、といったときは貼り続けず、皮膚科を受診してください

受診された患者さんに起きたこと

今回、当院を受診された患者さんは、もともと「ニキビのようなできもの」ができたため、ご自身でキズパワーパッドを貼って経過をみていました。

ところが、その後どんどん赤みと腫れが拡大。受診時には、できものの周囲まで強い発赤・腫脹を認め、二次的な細菌感染から蜂窩織炎を起こしている状態でした。

血液検査では、炎症反応を示すCRPが12 mg/dLまで上昇していました。

なぜ悪化してしまったのでしょうか?

キズパワーパッドなどのハイドロコロイド製剤は、創部を覆って適度な湿潤環境を作るものです。

そのため、清潔で感染のない浅い傷などには有用ですが、すでに細菌感染を起こしている、あるいは感染が疑われる傷を自己判断で覆い続けるのは注意が必要です。

実際、ハイドロコロイドは臨床的に感染している創には推奨されないとされています。日本皮膚科学会の創傷診療ガイドラインにも、ハイドロコロイドなどの閉鎖性ドレッシングは感染創には用いないことが記されており、製品の使用上の注意にも、使えない傷があること、傷口に異常が見られたら家庭での処置を中止して医師に相談することが書かれています(文末の【参考】をご覧ください)。

今回のように、「ニキビだと思っていたもの」が実は感染を伴うできものだった場合、密閉することで内部の状態が見えにくくなり、感染の進行に気づくのが遅れてしまう可能性もあります。

こんな時は貼り続けず、皮膚科へ

特に、

  • 傷の周りの赤みが広がっている
  • 腫れ・熱感・痛みが強くなっている
  • 膿が出ている
  • ジュクジュクした浸出液が多い
  • 発熱やだるさがある
  • 「ただの傷」ではなく、ニキビ・おでき・できものから始まった

といった場合は、キズパワーパッドで様子をみるのではなく、一度皮膚科を受診してください。

蜂窩織炎は、皮膚の傷などを入口として細菌が皮膚・皮下組織に広がる感染症で、進行すると発熱などの全身症状を伴うこともあります。

実際の症例

今回の患者さんは、基礎疾患に糖尿病がある方でした。

大学病院へ紹介も検討しましたが諸事情によりすぐには受診できないため、急性増悪に注意しながら慎重に当院での加療を継続しました。

下腿に浅い皮膚潰瘍をみとめ、周囲の発赤熱感もあることから、創部の二次感染を疑い、蜂窩織炎の診断で治療を開始しました。

初診時の下腿の写真(皮膚潰瘍と周囲の発赤)

魚住総合クリニック

初診時の写真

皮膚潰瘍の治療と蜂窩織炎に対する治療を行いました。

※掲載写真は患者様の同意を得て掲載しています。
※経過には個人差があります。

治療後10日から2週間後の下腿の写真(皮膚潰瘍の上皮化が進んだ状態)

魚住総合クリニック

治療後10日〜2週間後の経過の写真

連日の通院も頑張ってくださり、適切な処置・治療で改善しました。

幸いにも重症化することなく、炎症反応は改善し、写真のように皮膚潰瘍も順調に上皮化していきました。

治療内容・費用・主なリスクについて
治療内容 …… 皮膚潰瘍に対する創処置(洗浄・外用・被覆)と、蜂窩織炎に対する抗菌薬による治療。処置のため連日通院していただきました。
費用 …… 保険診療(自己負担割合に応じた窓口負担)。
主なリスク …… 抗菌薬による副作用(発疹・下痢・胃腸症状など)、処置時の痛み。感染が進行した場合は入院での治療が必要になることがあります。
経過には個人差があり、写真は一例です。

キズパワーパッドはとても便利な製品ですが、「貼っておけば何でも治る」ものではありません。

特に、できもの・膿・強い赤みや腫れがある場合には、自己判断で密閉しないことが大切です。

「この傷、キズパワーパッドを貼っていいのかな?」
「何日か貼っているけれど、むしろ赤くなってきた」

そんな場合も、お気軽に皮膚科へご相談ください。

皮膚科の診療日・受付時間は曜日や週によって異なります。最新の情報は当院ホームページをご確認ください。

傷やできものの症状は、WEBから24時間ご予約いただけます。門前仲町駅から徒歩4分です。

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魚住総合クリニック 皮膚科
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/医学博士 魚住知美
東京都江東区永代/東京メトロ東西線・都営大江戸線「門前仲町駅」徒歩4分
【参考】

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の診断・治療は診察のうえで行います。症状には個人差があります。診療日・受付時間は変更となる場合がありますので、最新の情報は当院ホームページのお知らせをあわせてご確認ください(公開時点の情報です)。