皮膚科専門医が治療のポイントを解説します。
ニキビは、ただの“青春のシンボル”ではありません。実は思春期から始まり、長く続く「慢性の皮膚疾患」です。
特にニキビあとを残さないためには、「悪化する前の早期治療」がとても大切。今回は、ニキビの原因や種類、そして近年登場した“新しい塗り薬”について、わかりやすくご紹介します。
■ ニキビあとを残さないために ―「早期治療」がカギ!
ニキビは、でき始めが“最大の治療チャンス”。
特に悪化しやすい思春期の間に、正しい治療を継続することで、ニキビあとを残さず、なめらかなお肌を目指すことができます。
■ ニキビの原因と種類
ニキビの主な原因は以下の3つです:
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皮脂分泌の増加
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毛穴のつまり(コメド)
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アクネ菌の増殖による炎症
“ニキビ”とひとことで言っても、初期の白ニキビから赤く腫れたニキビまで、進行具合によってさまざま。
同時にいくつかの種類が混在していることも多く、ひとりで悩まず、専門的な診察を受けることが大切です。
マルホ株式会社HPより引用
■ ニキビ治療は「塗り薬」が中心です
病院でのニキビ治療は、保険が適用される塗り薬が基本です。
お肌の状態に合わせて、以下のようなお薬が処方されます。
◎ コメド治療薬(毛穴のつまりに)
毛穴のつまりを改善する“ピーリング作用”を持ち、赤ニキビへの進行を予防。最近ではアクネ菌の殺菌作用もある薬剤が登場し、根本から治す治療が可能になっています。
マルホ株式会社HPより引用
2025年6月にベピオウォッシュゲル®が販売になりました。これはショートコンタクトセラピーと言って、洗い流すタイプの新しいおくすりです。
今まで刺激が強くてベピオ製品が使用できなかった方にもおすすめです!コメド治療薬は他にもエピデュオゲル®、ディフェリンゲル®、抗生剤との合剤のデュアック配合ゲル®があります。
◎ 抗菌薬(赤ニキビの炎症に)
アクネ菌の増殖を抑えて、今ある赤いニキビの炎症を改善。コメド治療薬と併用することで、より効果的なケアができます。
今、「薬剤耐性(やくざいたいせい)」が世界で問題になっています。「薬剤耐性」を持つ細菌は、抗菌薬に対して抵抗を示します。日本でも、ニキビの原因菌のひとつであるアクネ菌の薬剤耐性が増えてきています。1)Nakase K et al. J Dermatol 2017; 44: 1248‐1254
抗菌薬を長期間使い続けると、アクネ菌が「薬剤耐性」(耐性をもつと薬が効かなくなる)を持つ可能性があります。
抗菌薬は赤ニキビが改善したら継続使用は控えましょう。
■ 正しいスキンケアと治療で、美肌をキープ
洗顔だけでは、毛穴のつまりを完全に防ぐことはできません。
「ニキビはできたら終わり」ではなく、「できないように予防する」ことが重要です。
コメド治療薬を続けることで、赤ニキビの再発予防にもつながり、きれいなお肌を保てる時代になってきました。
■ よくある質問 Q&A
Q. 自分でニキビをつぶすのはなぜダメ?
A. 自分でつぶすと皮膚が傷つき、ニキビあとが残りやすくなります。さらに、細菌感染を起こすリスクもあるため、絶対にやめましょう。専用の器具でクリニックで圧出してもらいましょう。
Q. 食べ物で気をつけることはある?
A. 「これを食べるとニキビができる」という科学的に証明された食品はありません。
ただし、食べるとニキビが悪化する“自分にとっての”食品がある場合は控えめに。バランスの良い食生活が、お肌にも一番です。
■ 最後に
ニキビは、正しく向き合えば防げるもの。ニキビができにくい 肌を目指すポイントは赤ニキビがなくなっても毛穴のつまりの治療を続けることです。
「まだ軽いから…」「そのうち治るかも…」と放置せず、早めにご相談ください。
当院では、皮膚科専門医が一人ひとりに合った治療をご提案しています。お気軽にご来院ください。
魚住総合クリニック 皮膚科
参照 皮膚科学に特化した製薬企業マルホ ニキビ治療の総合情報サイト ニキビ一緒に治そうproject