赤ちゃんの湿疹(乳児湿疹)は皮膚科にご相談ください

乳児湿疹とは?

母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんの皮膚に現れる、赤み・カサカサ・プツプツなどの皮膚トラブルの総称です。

赤ちゃんによくみられる皮膚疾患と、正しい対処法について皮膚科医が解説します。

 

 

主な赤ちゃんの湿疹の種類と特徴

① 新生児ざ瘡(しんせいじざそう)

  • 時期:生後2〜4週間頃に出現

  • 見た目:顔、特にほっぺたやおでこに赤いブツブツ(ニキビのようなもの)

  • 原因:新生児期に一過性に増加するホルモン(アンドロゲン)の影響で皮脂分泌が活発になることが原因と考えられています

  • 対処:スキンケアをして清潔を保てば自然に治ることが多いです


② 乳児脂漏性皮膚炎(にゅうじしろうせいひふえん)

  • 時期:生後数週間〜数ヶ月

  • 見た目:黄白色の痂皮(かひ)や鱗屑(りんせつ)が、頭皮や眉毛、耳の後ろの脂漏部位(しろうぶい)や脇、首、肘などの間擦部位に付着します

  • 原因:過剰な皮脂のため、皮膚に炎症が起きると考えられています

  • 対処:固い痂皮(かひ)や浸出液が固着している場合は無理に剥がすと出血してしまいます。入浴前にオリーブ油やワセリンでふやかしてから優しく洗いましょう。


③ アトピー性皮膚炎

  • 時期発症年齢は月齢3ヵ月~6ヵ月が最も多く、小児患者の90%は5歳までにアトピー性皮膚炎と診断されます。

  • 見た目病変の分布は対称性で、乾燥した赤み、かゆみがあり、頬や首、肘・膝の内側に出やすいですが年齢によって異なります。乳幼児の典型的な皮疹は頭皮、前額部、頬部、両腕や両下肢の表面にみられます。年長児の特徴的な皮疹は頸部、肘、膝、手首、足首の屈側部にみられます。

  • 原因原因はさまざまで、完全には解明されていません。遺伝子、アレルギー、皮膚バリア機能障害、環境など複合的に発症の要因に関わっていると考えられています。

  • 対処:炎症が強い場合は、ステロイド外用薬で急性炎症を治療します。保湿剤、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、必要に応じて抗菌薬を組み合わせて、治療します。アトピー性皮膚炎の小児は食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎を発症するリスクがあります。早期に皮膚科医に相談しましょう。


④ おむつ皮膚炎(接触皮膚炎)

  • 時期:便がゆるい時期

  • 見た目:刺激を受けやすい肛門周囲や陰嚢、陰茎周囲に赤みやただれが生じます。

  • 原因:便や尿による科学的な刺激と、拭き取りによる物理的刺激が原因です。

  • 対処:排便後は拭き取るのではなく、ぬるま湯で優しく洗い流しましょう。炎症を抑えるおくすりを塗りましょう。似た症状でカンジダ(真菌)感染症がありますので皮膚科医の診察を受けましょう。


⑤ あせも(汗疹)

  • 時期:夏場や汗をかきやすい時期

  • 見た目:首や背中、腹部になどにかゆみを伴う小さな赤いブツブツ

  • 原因:多量の発汗と汗が蒸発しにくい環境でおきる皮膚の炎症です。おむつのギャザーのある腹部や足の付根に汗がたまりやすいためその部位から発症しやすいです。

  • 対処:こまめに汗をふいたり、通気性のよい服に変えましょう。皮膚を清潔に保ちましょう。炎症を抑えるおくすりを塗りましょう。


一般的なケア方法

  • 優しく洗って清潔に保つ

  • 保湿をしっかりする(ワセリン、セラミド、ヘパリン類似物質、尿素など)

  • 汗をかいたら着替え・拭き取り

  • 刺激の少ないベビー用スキンケアを使う

おすすめのスキンケア商品♪

ノブスキンクリームD 当院でも販売しています。

赤ちゃんのお肌はデリケートです。

多くの場合は積極的な治療をしなくても、保湿剤のみで改善しますが、時にはおくすりが必要になることもあります。

特にアトピー性皮膚炎のかゆみや赤みは保湿剤では治りません。

「乳児湿疹かな?」と思ったら、まずは医療機関を受診しましょう。赤ちゃんの皮膚の症状をみて、適切なケア方法や治療を指導します。

 

当院ではお子様の皮膚疾患も一緒に診察できます。心配な症状がある場合にはお気軽に受診下さい。

 

Web予約が便利です。Web予約はこちら

 

魚住総合クリニック 皮膚科

 

参考文献 American Academy of Dermatology Medical Student Core Curriculum Workgroup(2008~2012)

こどもの皮膚診療アップデート 第3版

日本皮膚科学会HPhttps://www.dermatol.or.jp/qa/index.html