捻挫の正しい対処法と早期回復の流れ
捻挫は、日常生活で誰にでも起こる可能性のあるケガです。正しい応急処置と適切な治療を行えば、早期回復と再発防止が期待できます。この記事では、捻挫の原因、骨折の除外方法、最新の応急処置「PLICE」プロトコル、当院での物理療法、そしてリハビリテーションの具体的な流れについて、実践的な具体例を交えながら解説します。
1. まず骨折の可能性をチェックする
捻挫と見なされるケガでも、実は骨折が隠れている場合があります。安全な応急処置を行うため、まずは以下の点に注意して骨折の可能性をチェックしましょう。
- 骨の近くに強い痛みがあるか?
足首の特に外くるぶし、内くるぶしの骨周辺を触ったときに激しい痛みを感じる場合、骨折の可能性があります。 - すぐに歩けるか、重い荷重がかけられるか?
捻挫後、痛みのために立ち上がれなかったり、自力で4歩以上歩行が困難な場合は、骨折が疑われるサインです。
これらの症状がある場合は、無理をせず、早めに専門医に受診してレントゲン検査などでまずは骨折の有無を確認しましょう。
2. 応急処置:最新の「PLICE」プロトコル
捻挫直後の正しい応急処置は、回復への第一歩です。ここでは、覚えやすい「PLICE」プロトコルに基づいた対処法をご紹介します。
P:Protection(保護する)
- 内容: ケガした部位をこれ以上傷めないように、サポーターやバンテージでしっかり固定します。外部からの衝撃を防ぎ、患部を保護することが重要です。
L:Load(適度に荷重をかける)
- 内容: 完全な安静ではなく、痛みのない範囲で軽く体を動かすことが回復促進に効果的です。
- 具体例: 家の中で1~2分、または数十メートル程度歩いてみる。たとえば、台所からリビングまでの短い距離を歩くなど、無理のない動作で血液循環を促しましょう。
I:Ice(冷却する)
- 内容: 保冷剤や氷をタオルに包み、15~20分間患部を冷却します。
- 注意: 直接肌に氷を当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルなどを間に挟んで使用してください。
C:Compression(圧迫する)
- 内容: 弾性包帯などを使用して、患部を適度に圧迫し腫れを抑えます。
- 注意: 圧迫しすぎると血流が悪くなるため、軽く固定することがポイントです。
E:Elevation(挙上する)
- 内容: ケガをした部分を心臓より高い位置に保つことで、腫れを軽減します。
- 具体例: 足首の場合、クッションや枕を利用して足を高く保つと効果的です。
この「PLICE」プロトコルを正しく実践することで、捻挫の初期対応がスムーズに行われ、回復を促進します。
3. 病院での物理療法のご紹介
自宅での応急処置を行って、早めに整形外科を受診しましょう。当院では、以下の物理療法で捻挫の回復をサポートします。
温熱療法
- 効果: 急性期の痛みや腫れが落ち着いた1~2日後に、温かいタオルやホットパックを使用して血行を促進します。これにより、修復に必要な栄養素が患部に届きやすくなります。
超音波治療
- 効果: 超音波を使って患部に微細な振動を与え、炎症を和らげながら組織の修復を促進します。温熱療法だけでは十分な効果が得られない場合に、医師の判断で取り入れられます。
電気治療
- 効果: 低周波や高周波の電流を使用し、痛みを軽減しながら筋肉のこりをほぐします。これにより、関節の動きが改善され、回復が促進されます。
4. リハビリテーションの重要性
物理療法と並行して、適切なリハビリテーションも捻挫の早期回復には欠かせません。リハビリは再発防止にも効果的です。
- 段階的な運動: 最初は軽いストレッチや簡単な体操から始め、徐々に負荷を増やしていき、関節周りの筋肉を強化します。
- 正しい動作の習得: 日常生活での体の正しい使い方を学び、再び同じケガを起こしにくい体作りを目指します。
専門の物理療法士やリハビリスタッフが、個々の状態に合わせたプログラムを提供するため、安心してリハビリに取り組むことができます。
5. 専門医の受診が必要な場合
捻挫は軽度の場合もありますが、以下の症状が見られる場合は、速やかに専門医に相談してください。
- 痛みや腫れが数日経っても改善しない
- 歩行が困難になり、関節の動きに大きな制限がある
- 激しい痛みが続き、日常生活に支障をきたしている
早期の専門医受診は、将来の後遺症を防ぐためにも非常に重要です。
まとめ
捻挫から早期回復を目指すためには、以下のステップが重要です。
- まずは骨折の除外
足首や手首の骨の近くに激しい痛みがある、またはすぐに歩けない場合は、専門医の診察で骨折の有無を確認します。 - 応急処置(PLICEプロトコル)の実践
- P(保護): サポーターやバンテージで固定する
- L(適度な荷重): 痛みのない範囲で家の中を1~2分、または数十メートルの軽い歩行を行う
- I(冷却): 保冷剤や氷をタオルに包んで15~20分間冷やす
- C(圧迫): 弾性包帯で軽く固定し腫れを抑える
- E(挙上): クッションや枕で患部を心臓より高く保つ
- 病院を受診して物理療法やリハビリの実施
軽症に見えても捻挫は適切な治療が必要です。温熱療法、超音波治療、電気治療を組み合わせ、適切なリハビリテーションを行うことで、再発防止と早期回復を図ります。
正しい知識と迅速な対応が、捻挫からの回復を大いに助けます。必要に応じて専門医に相談し、最適な治療とリハビリを受けるように心がけましょう。
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