五十肩だと思ったら…実は腱板断裂かも? 違いと受診の目安

肩の痛みや動かしにくさを感じたとき、多くの方は「五十肩かもしれない」と思われるかもしれません。しかし、その痛みの原因が実は「腱板断裂」だった、というケースもよくあります。

五十肩と腱板断裂は症状が似ているため混同されやすいですが、実は異なる病気です。ここでは、それぞれの特徴や違い、適切な対処法について分かりやすく解説します。


そもそも五十肩とは?

五十肩は、肩の関節を包む膜(関節包)やその周りの組織が炎症を起こし、痛みや動かしにくさが出る状態のことをいいます。主に40代~50代に多くみられることから、この名前がつきました。

特徴的な症状

  • 肩の動きが全体的に制限される(特に腕を上げる・背中に手を回す動作)
  • 動かすと強い痛みがある
  • 数カ月~1年程度で徐々に回復することが多い

五十肩は基本的に時間とともに良くなる傾向があり、適切なリハビリを行うことで回復を早めることができます。おすすめの体操など、五十肩について詳しく知りたい方はこちら


では、腱板断裂とは?

腱板(けんばん)とは、肩の奥にある4つの筋肉の束のことで、腕を上げたり回したりする動きを支える重要な部分です。腱板断裂とは、この腱が切れてしまう状態のことを指します。

特徴的な症状

  • 腕を上げることは可能だが、力が入りにくいことがある
  • 肩を上げる際に肩でジョリジョリという軋むような音を感じることがある
  • 肩の動きの固さが少ない

放置すると、肩が固まり動かなくなることや痛みが慢性化するリスクがあります。腱板が完全に切れてしまうと、自然に治ることはなく、適切な治療が必要になります。


五十肩と腱板断裂の違いを比較

項目 五十肩 腱板断裂
原因 主に老化によって肩関節周囲の組織に炎症が起こる 腱が切れる(加齢やケガ)
動きの制限 肩全体が固くなり動かせる範囲に制限がある 特定の動作(腕を上げる・回す)が難しいが制限はないことが多い
痛みの特徴 初期に強いが徐々に回復 放置すると悪化しやすい
自然に治るか? 時間の経過とともに回復することが多い 放置すると自然には治らないことがある

どちらか判断する方法は?

五十肩と腱板断裂を見分けるためには、以下の方法が役立ちます。

① 腕を上げてみる(無理のない範囲で行ってください)

五十肩の場合:腕は上がりにくく、補助しても肩が詰まってしまい上がらない。
腱板断裂の場合:腕は痛みを伴いますが自力でもある程度上がることが多く、補助すれば上がりきることもある。

② MRIや超音波検査を受ける

MRIや超音波検査を受けると、腱が切れているかどうかがはっきり分かります。


腱板断裂の可能性を確認するセルフチェック(無理のない範囲で行ってください)

  • 壁上げテスト:壁に手をつけた状態で腕を上げる。痛むけど上がる場合は腱板断裂の可能性あります。
  • 片腕持ち上げテスト:健康な方の手で痛い方の腕を持ち上げる。痛むけど上がる場合は腱板断裂の可能性があります

これらのチェックを行ってみて該当する場合は早めに整形外科を受診することをおすすめします。


治療法の違い

五十肩と腱板断裂では治療法も異なります

【五十肩の治療】

  • 痛みを和らげる薬や注射
  • 肩を無理のない範囲で動かすリハビリ
  • 1~3年かけて徐々に改善

【腱板断裂の治療】

腱板断裂の治療には、リハビリで回復を目指す方法と、手術が必要な場合の2つがあります。

  • 軽度の断裂:適切なリハビリを行うことで回復が期待できます。
  • 重度の断裂:リハビリだけでは回復が難しいことが多く、手術で腱を縫い合わせることが必要になることもあります。

まとめ

「肩が痛くて動かしにくい」と感じたら、五十肩と決めつけずに、腱板断裂の可能性を考慮しましょう。放っておくと悪化するケースもあるため、めに整形外科を受診することが大切です。

肩を痛めてから3週間ほど経過しても症状が改善しない場合や、
特に『腕に力が入らない』『痛みが増している』といった症状がみられる場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

肩の健康を守るためにも、適切な診断と治療を受けて、快適な日常生活を取り戻しましょう。