乾癬(かんせん)は難治性の慢性皮膚疾患であり、遺伝的な要因と環境の要因が重なることで発症すると言われています。
主に5つの病型に分類され、それぞれ少しずつ症状が異なります。
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尋常性乾癬
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膿疱性乾癬
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乾癬性紅皮症
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滴状乾癬
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乾癬性関節炎
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)は、全体の7~8割を占めます。何らかの原因で表皮細胞が異常な増殖とターンオーバーの短縮を生じる銀白色の鱗屑(りんせつ)を伴い、境目明瞭な盛り上がった紅斑(こうはん)が全身にあらわれます。大きさ、数、形は様々で、発疹が癒合して大きな病変を作ることもあります。症状は、初めに頭、ひじ、ひざ等に出ることが多く、症状が出ている範囲が広くても、かゆみがあまりない方もいます。慢性の機械的刺激を受けやすい部位で好発します(Köebnerケブネル現象)。
乾癬の治療は外用療法、内服療法、光線療法、注射薬(生物学的製剤)の4つが主なもので、これらを症状にあわせ適宜、選択することになります。さらにこれらを同時期に組み合わせたり、1つ1つの治療を時期的にずらしたりする方法もあります。医師が治療法を選択する場合、病気の性質が慢性であることを考えて、治療効果と副作用(短期的なものも長期的なものも含めて)のバランスのもとに選択していきます。
外用療法
ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬を合わせた配合薬
内服療法
ソーティクツ錠®
チロシンキナーゼ2(TYK2 ティックツー)のはたらきを抑えることにより、TYK2がかかわる免疫反応を抑えることで乾癬の症状を改善すると考えられています。ソーティクツ®による治療中に、特に注意すべき副作用として感染症(上気道感染等)、単純ヘルペス、帯状疱疹、ざ瘡様皮疹、毛包炎などがあります。1日1回1錠、水やぬるま湯で服用します。
オテズラ錠®
オテズラ錠®は、PDE4( ホスホジエステラーゼ4 )阻害剤とよばれる新しいタイプの乾癬の飲み薬です。塗り薬で十分な効果が得られない患者さんや、関節症状がある患者さんに使われます。オテズラ錠は、PDE4の働きを抑えることで、身体の中の乱れた免疫バランスを整え、炎症を抑えて、乾癬の症状を改善します。オテズラ錠は、飲み始めの頃に吐き気や下痢、頭痛などの副作用がみられることがあります。吐き気や下痢がおこる場合、そのほとんどは飲み始めてから2週間以内に現れ、4週間以内におさまりまることが多いですが、適宜医師の診察を受けましょう。最初の2週間は、2週間分のお薬が入っている「スターターパック」の表記に従って服用します。3週目以降は1回30mgを1日2回(朝・夕)服用します。
乾癬は決して人にはうつりません!!
乾癬の患者さんは、発疹を見られるという意味で、周囲からの視線を意識して生活しています。その意味で乾癬は極めて社会的な病気で患者さんの生活の質が低下しています。肌が触れたり、一緒にプールや温泉に入っても決してうつりません。この病気がうつらないという情報は極めて重要です。日本皮膚科学会を始め皮膚科医は、一般社会に対して、乾癬が決してうつらない病気であることを常に啓発しています。
乾癬の治療目標は、患者さんの生活に合わせて、乾癬の症状を改善・維持し、生活の質を高め、生活を楽しむことです。
生活の中での治療目標や、治療法について、医師とよく相談しましょう。患者さん一人ひとりの生活の質(QOL)を高めるために、一番よい治療法
を選択します。
新薬も登場し患者さんの治療の選択肢が広がっています。
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周りの視線が気になる
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職場・学校で乾癬に対しての理解があまり得られない
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治療費のことが不安
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治療法について心配事や悩みがある
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もう少し乾癬治療の効果を感じたい
乾癬でお困りの方は一度皮膚科でご相談ください。
魚住総合クリニック 皮膚科 WEB予約はこちら
参照
日本皮膚科学会HP 乾癬Q&A
ソーティクツ錠を服用する患者さん向けパンフレット
オテズラ錠を服用する患者さん向けパンフレット
ソーティクツ錠添付文書
マルホ株式会社 乾癬の外用療法について
共和キリン ドボベットを使用中の患者さんへ